宅建の通信講座を調べ始めると、どの会社も「合格率No.1」「受講者数No.1」みたいな訴求ばかりで、正直どれを信じていいか分からなくなりませんか?
僕はデジタルマーケティングの仕事を10年やってきた現役会社員です。広告を「出す側」の人間なので、こういう訴求がどういう仕組みで作られているかはだいたい分かります。先に断っておくと、僕自身がこれらの講座を受講したわけではありません。だからこの記事に「実際に使ってみた感想」は出てきません。その代わり、各社の公式情報と公開されている口コミを調査・整理して、広告の見せ方のバイアスも踏まえた上で「あなたのタイプならどれか」を示します。
比較するのはスタディング・アガルート・フォーサイト・ユーキャンの4社。料金・実績・サポート・返金制度を横並びで見ていきましょう。
先に結論:タイプ別のおすすめ
時間がない人のために、結論を最初に置いておきます。
| あなたのタイプ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| とにかく安く済ませたい | スタディング | 約15,000〜20,000円と圧倒的に安い。スマホ完結 |
| 合格実績・講義の質を重視 | アガルート | 公表合格率が高く、合格時の全額返金制度あり |
| 紙のテキストでじっくり派 | フォーサイト | フルカラーテキストの完成度に定評。不合格時返金も |
| 初心者で挫折が怖い | ユーキャン | 添削・スケジュール管理など伴走型サポートが手厚い |
「ランキング1位だから」で選ぶと失敗します。価格帯が15,000円から10万円まで開いている時点で、そもそも狙っている客層が違うんですよね。自分がどのタイプかを決めてから読み進めてもらえれば、答えはわりとすんなり出ると思います。
なお「そもそも通信講座が必要か、独学でいけるのか」で迷っている段階なら、先に宅建は独学で受かる?を読んでみてください。
4社比較表(2026年6月時点)
| 項目 | スタディング | アガルート | フォーサイト | ユーキャン |
|---|---|---|---|---|
| 料金目安 | 約15,000〜20,000円 | 約5〜10万円帯 | バリューセット約6〜7万円 | 約63,000円 |
| 教材形式 | スマホ完結(動画+WEBテキスト、冊子はオプション) | 動画講義+製本テキスト | フルカラーテキスト+eラーニング「ManaBun」 | 紙テキスト中心+デジタルサポート |
| サポート | AI問題復習機能。質問は有料チケット制 | 質問対応あり(コースによる) | 質問回数制限あり(セットによる) | 添削指導・質問対応・スケジュール管理 |
| 返金制度 | なし(合格お祝い金制度あり) | 合格者全額返金または合格祝い金(条件あり) | 条件付きで不合格時全額返金(対象セットのみ) | なし |
| 教育訓練給付金 | 講座により対象 | 講座により対象 | 講座により対象 | 講座により対象 |
※料金は2026年6月時点の目安で、キャンペーン等で変動します。給付金の対象可否は同じ会社でも講座単位で異なるため、必ず公式サイトとハローワークの検索システムで確認してください。
各社の特徴と「ここは注意」
比較表だけだと各社の温度感が伝わらないので、良い面と悪い面をセットで見ていきます。
スタディング:最安クラスでスマホ完結。ただし紙派には不向き
スタディングの最大の武器は価格です。約15,000〜20,000円(2026年6月時点・キャンペーン等で変動あり)は、他社の3分の1から10分の1という水準。スマホだけで講義視聴から問題演習まで完結する設計で、AIが間違えた問題を最適なタイミングで出し直してくれる復習機能もあります。通勤電車の中だけで勉強を回したい人には、これ以上ない選択肢でしょう。
注意点は2つ。まず冊子テキストが標準では付かず、オプション扱いになること。紙に書き込みながら覚えたい人だと、結局オプション代がかかって価格メリットが薄れます。もうひとつは質問サポートが弱めなこと。疑問点を講師に聞きながら進めたいタイプには物足りないはずです。「安いのには安いなりの理由がある」ことは理解した上で選びましょう。詳しくはスタディングの評判で掘り下げています。
アガルート:実績訴求の王者。合格率の数字は冷静に読む
アガルートは令和7年度(2025年度)宅建試験で受講生合格率77.01%、全国平均の4.13倍と公表しています。2025年度の全国平均合格率が18.7%ですから、額面通りなら驚異的な数字です。
ただ、ここはマーケター視点で一言挟ませてください。この種の合格率は「合否アンケートに回答した受講生」をベースに集計されるのが業界の通例です。合格した人ほどアンケートに答えやすいというバイアスは構造的に避けられません。数字が捏造という意味ではなく、「全受講生の77%が受かる」と読むのは早計、ということです。公表の前提条件は公式サイトで必ず確認してほしいところ。
それでも、合格者には受講料全額返金または合格祝い金という制度(合格体験記の提出などの条件あり)を成立させている時点で、合格者を相応に出している証拠とは言えます。料金は約5〜10万円帯と高めですが、「受かれば実質タダ」の設計に本気でコミットできる人には合理的な選択です。逆に、返金条件を達成できる自信がないまま「実質無料」だけ見て申し込むのは危険。条件の詳細はアガルートの評判で確認してください。
フォーサイト:テキスト品質と「不合格時返金」が個性
フォーサイトはフルカラーテキストの読みやすさで長年支持されてきた会社です。図解中心で、合格に必要な範囲に絞り込む編集方針。eラーニングシステム「ManaBun」で動画もスマホで見られるので、紙とデジタルの中間を取りたい人に合います。バリューセットは約6〜7万円(2026年6月時点・キャンペーン等で変動あり)。
特徴的なのは、アガルートとは逆向きの返金制度です。条件を満たして不合格だった場合に全額返金という設計で、これは対象のセットのみに付帯します。「落ちたときの保険」が欲しい慎重派には刺さる制度ですが、返金には学力テストの受験や提出物などの条件があるため、誰でも無条件で返ってくるわけではありません。ここを読み飛ばして「落ちても返金されるんでしょ?」と思い込むのが一番危ないパターンです。
注意点としては、範囲を絞り込むスタイルゆえに「テキストに載っていない問題が本試験で出た」という口コミが一定数あること。満点ではなく合格点を狙う設計だと割り切れるかどうかですね。詳細はフォーサイトの評判にまとめています。
ユーキャン:伴走サポート特化。自走できる人には過剰かも
ユーキャンの宅建講座は約63,000円(2026年6月時点・キャンペーン等で変動あり)。添削指導、質問対応、学習スケジュールの管理サポートと、「勉強の習慣がない人を完走させる」ことに振り切った設計です。テレビCMでおなじみの安心感もあって、何かを学ぶこと自体が久しぶりという人の最初の一歩には向いています。
一方で、すでに勉強の自己管理ができる人にとっては、このサポートはほぼ過剰品質です。同じ6万円台ならフォーサイト、価格を抑えたいならスタディングのほうがコスパは良くなる。合格実績の公表もアガルートほど積極的ではないため、実績重視派には判断材料が少ないのも事実です。「サポートに6万円払う価値があるか」を自問してから選びましょう。
選び方の軸:広告の数字より「自分の続け方」
4社を見てきて分かる通り、各社の広告はそれぞれ自社が勝てる土俵の数字だけを押し出しています。スタディングは価格、アガルートは合格率、フォーサイトは教材満足度、ユーキャンは安心感。どれも嘘ではないけれど、全部「切り取り」です。
だからこそ、選ぶ軸は広告ではなく自分側に置くべきだと思います。具体的には次の3つを自問してみてください。
- ▸どこで勉強するか:通勤中心ならスマホ完結のスタディング、机に向かえるならテキスト型
- ▸いくらまで出せるか:2万円以下か、6万円前後か、返金前提で10万円か
- ▸挫折リスクはどれくらいか:過去に独学で挫折した経験があるなら、サポート型に寄せる
宅建の合格率は2025年度で18.7%。裏を返せば8割の人が落ちる試験で、その大半は「教材が悪かった」のではなく「最後まで続かなかった」のが原因です。続けられる形式を選ぶことが、講座選びの実質的な全てと言ってもいいくらいです。
教育訓練給付金で実質負担を下げる
見落とされがちですが、宅建講座の多くは一般教育訓練給付金の対象になり得ます。対象講座なら受講料の20%(上限10万円)が支給されるので、たとえば6万円台の講座なら1万円以上戻ってくる計算です。
ただし対象かどうかは会社単位ではなく講座単位で決まっていて、同じ会社でも対象外のコースがあります。申し込み前にハローワークの教育訓練講座検索システムで必ず確認してください。受給には雇用保険の加入期間などの条件もあります。手続きの流れや注意点は教育訓練給付金ガイドで詳しく解説しています。
まとめ
最後にもう一度、タイプ別の結論を置いておきます。
- ▸最安で済ませたい・スマホ学習派 → スタディング(約15,000〜20,000円)
- ▸実績と返金インセンティブで自分を追い込みたい → アガルート(約5〜10万円帯)
- ▸紙テキスト重視・落ちたときの保険が欲しい → フォーサイト(約6〜7万円)
- ▸初学者で伴走サポートが欲しい → ユーキャン(約63,000円)
※いずれも2026年6月時点の料金目安で、キャンペーン等により変動します。最新の料金・返金条件・給付金対象可否は各公式サイトで必ず確認してください。
繰り返しになりますが、僕は受講者ではなく、公式情報と公開口コミを調査して整理する立場です。その立場から言えるのは、「どの講座が一番良いか」という問いには答えがなく、「あなたがどう勉強する人間か」にしか答えがないということ。広告の数字に引っ張られず、自分の生活に組み込める形式から逆算して選んでください。
通信講座そのものに迷いがある人は宅建は独学で受かる?も合わせてどうぞ。
