はじめに
僕は転職を5回しています。
婚活ベンチャー → フィットネスベンチャー → 大手通信会社 → 大手小売グループ → 大手保険会社、という順番です。
年収は400万から1200万になりました。ざっくり3倍です。
ただ、ここに辿り着くまでに書類で落ちた数は数えきれません。面接で「転職回数が多いですね」と言われた回数も、両手では足りないくらいでした。
転職回数が多いと不利なのか。正直に答えます。不利になる時期は、確かにありました。でも、ずっと不利だったわけではありません。
この記事では、転職回数が多いと面接で本当に不利になる理由から、実際に僕が聞かれた質問と回答、履歴書での見せ方、そして地味に検索されている「転職回数の数え方」まで、当事者としてまとめて書いていきます。
転職回数の数え方(まずここでつまずく人が多い)
面接の話に入る前に、そもそも自分の転職回数が何回なのか、正確に数えられていない人が意外と多いです。
基本の計算式はシンプルで、在籍した会社の数 −1 です。3社目にいる人なら転職回数は2回、僕のように5社目なら4回、という数え方になります。今まさに活動中の応募は含めません。新卒で最初に入った会社も、転職ではないので回数には数えません。
迷いやすいのが雇用形態です。ざっくり以下が一般的な扱いになります。
| 雇用形態 | 転職回数に含めるか |
|---|---|
| 正社員・契約社員 | 含める |
| アルバイト・パート | 基本は含めない |
| 派遣社員 | 派遣元(登録元)が同じなら1回として扱われることが多い |
派遣は「どこに派遣されたか」ではなく「どの派遣会社と契約したか」で数える、と考えると分かりやすいです。何社に常駐しても派遣元が変わっていなければ、回数としては膨らみません。
なぜここから書いたかというと、面接官が見ているのは「正社員としての転職が何回か」だからです。学生時代のバイトを含めて「自分は転職7回だ」と思い込んで必要以上に落ち込んでいる人が、実は正社員では3回、というケースは珍しくありません。まず正しく数える。話はそこからです。
転職回数が多いと、面接で本当に不利になる理由
「回数が多いと印象が悪い」とよく言われますが、面接官が本当に警戒しているのは回数そのものではありません。回数の裏にある、3つの懸念です。
- ▸またすぐ辞めるのでは(定着性)。採用にはコストがかかるので、1〜2年で抜けられると採る側は損をします。
- ▸スキルが積み上がっていないのでは(専門性)。短い在籍を繰り返していると、一つの仕事をやり切った経験がないように見えます。
- ▸人間関係でつまずくタイプでは(協調性)。辞めた理由が毎回「人が合わなかった」だと、次も同じでは、と読まれます。
裏を返すと、この3つに答えられれば回数は大きな問題になりません。僕自身、5回目の転職では回数をほとんど深掘りされませんでした。理由は後半で書きます。
僕の転職歴と在籍期間
先に事実を並べておきます。
| 回数 | 会社 | 在籍期間 | 年収 |
|---|---|---|---|
| 1社目 | 婚活ベンチャー | 3年半 | 400万 |
| 2社目 | フィットネスベンチャー | 1年半 | 450万 |
| 3社目 | 大手通信会社 | 1年半 | 670万 |
| 4社目 | 大手小売グループ | 4年9ヶ月 | 860万 |
| 5社目 | 大手保険会社(現職) | — | 1200万 |
見てほしいのは2社目と3社目です。1年半が2回続いています。この時期が、転職活動で一番きつかったところでした。
面接で必ず聞かれた5つの質問
転職回数が3回を超えたあたりから、面接で聞かれる質問のパターンが決まってきました。以下の5つは、ほぼ毎回聞かれています。
- 「転職回数が多いですが、理由を教えてください」
- 「次もすぐ辞めるのでは?」
- 「前職の退職理由を教えてください」
- 「一番長く続いた会社はどこですか?なぜ長く続いたのですか?」
- 「当社では何年くらい働くつもりですか?」
一つずつ、僕が実際にどう答えたかを書いていきます。
質問1:「転職回数が多いですが、理由を教えてください」
これが一番多い質問で、一番答えるのが難しい質問でもあります。
正直に打ち明けると、3回目の転職(大手通信会社→大手小売グループ)のとき、僕はこの質問にまともに答えられませんでした。
大手通信会社を辞めた本当の理由は「合わなかった」です。でもそれを素直に言える自信がなくて、面接では「地元の奈良に帰ることにしまして」と嘘をつきました。恥ずかしい話です。東京の会社の面接を受けているのに奈良に帰るって何なんだ、と今なら思います。
転職理由を正直に言えるようになったのは、大手小売グループで実績を作ってからでした。4年9ヶ月在籍して、数億円規模のプロジェクトを一人で仕切りました。その実績があるから、「過去の短期離職は、自分に合う環境を探していた時期でした」と堂々と言えるようになったんです。
5回目の転職(大手保険会社)では、こう答えました。
「キャリアの前半は、自分に合う環境を模索していました。ベンチャー、大企業、事業会社と経験する中で、大手小売グループでDX推進に携わったことが転機になりました。そこで4年9ヶ月、事業を作る側の面白さを知り、今度はその経験を別の業界で活かしたいと考えています」
コツは、バラバラに見える転職を1本のストーリーにまとめることです。僕の場合は「模索の前半」と「腰を据えた後半」という2つのフェーズに分けて語りました。回数が多い人ほど、時系列を全部説明しようとすると矛盾が出ます。2〜3のフェーズに束ねて、今は軸が定まっていると伝える。これがうまくいきました。
ただし、これは実績が伴って初めて説得力が出ます。実績がない段階で同じことを言っても、薄っぺらく聞こえてしまうはずです。
質問2:「次もすぐ辞めるのでは?」
これはストレートに聞いてくる面接官もいれば、遠回しに探ってくる人もいました。
僕の答えはシンプルでした。
「大手小売グループには4年9ヶ月いました。環境と仕事内容が合えば、長く働きます。短期で辞めた時期があるのは事実ですが、それは自分に合う仕事を見つける前の話です」
在籍期間が長い会社が1社でもあると、この質問への回答がぐっと楽になります。「ほら、合えば長く続くんです」と実例で示せるからです。逆に、全部が1〜2年だと、この質問はかなり厳しくなります。今まさに在籍中の会社があるなら、そこで踏ん張って「長く続いた1社」を作るのが、遠回りに見えて一番効きます。
質問3:「前職の退職理由を教えてください」
退職理由は、嘘をつくと後でつらくなります。僕は「奈良に帰る」と嘘をついた経験があるので、余計にそう思います。
5回目の転職では、こう答えました。
「大手小売グループでDXの仕組みを一通り作り上げました。次は、デジタル化がまだ進んでいない業界で、ゼロからDXを推進したいと考えました」
前の会社の悪口を言わない。「やりきった」→「次のチャレンジ」という流れで語る。これは転職回数に関係なく、鉄則だと思っています。ここで環境や運のせいにすると、「困ったら環境のせいにして逃げる人」と受け取られます。主語を自分に置いておくのが大事です。
質問4:「一番長く続いた会社はどこですか?」
これは意外とよく聞かれます。面接官は「この人が定着する条件は何か」を探っています。
「大手小売グループで4年9ヶ月です。裁量が大きく、自分で企画して自分で実行できる環境でした。プロジェクト単位で成果が見えることがモチベーションでした」
この回答は、実は面接官へのメッセージにもなっています。「御社にも同じ環境がありますか?」と暗に聞いているわけです。もし面接官が「うちは裁量ないよ」と思ったら、お互いのためにそこで不採用になった方がいい、くらいに考えていました。
質問5:「当社では何年くらい働くつもりですか?」
正解がない質問です。「一生います」と言っても嘘くさいし、「3年で辞めます」と言ったら落ちます。
僕はこう答えました。
「年数で区切るより、御社で達成したいことがあります。保険業界のデジタルマーケティングの仕組みを作り上げたい。それには少なくとも3〜5年はかかると思っています」
「何年」ではなく「何を成し遂げたいか」で答える。これなら具体的ですし、やる気も伝わります。
履歴書・職務経歴書での見せ方
面接の前に、まず書類で落とされないことが大事です。転職回数が多い人ほど、ここで工夫できます。
- ▸職務経歴書は「時系列羅列」ではなく「実績中心」に。会社ごとに何をしたかを箇条書きで並べるより、直近の一番強い実績を冒頭のサマリーに持ってくると、回数の印象が薄まります。
- ▸短期離職には一言、事実ベースの補足を添える。「事業縮小に伴い」など客観的な事情があるなら書いておくと、面接での深掘りが減ります。言い訳がましくならない範囲で、です。
- ▸一貫した軸が見えるキーワードを通す。僕なら「DX」「事業を作る側」といった言葉を各社の記述に散らして、バラバラの経歴に1本の線を引きました。
書類は、面接で話すストーリーの予告編だと思って作ると整います。書き方の細部は転職エージェント向けの職務経歴書のコツにもまとめているので、あわせて読んでみてください。
30代の転職回数、どのくらいが目安か
年代によって、同じ回数でも受け取られ方が変わります。
20代で5回だと「短期間で職場を変えすぎ」と見られやすいのが正直なところです。一方で30代・40代の5回は、キャリアの幅を広げてきた積極的な動きと解釈される余地が出てきます。年齢が上がるほど、回数そのものより「で、何ができる人なのか」に評価の重心が移っていく、という感覚です。
業界差も大きいです。IT・クリエイティブ系は多様な経験がプラスに働きやすく、金融・製造・伝統的な日系大手は安定志向で回数を気にする傾向があります。僕が受けた中でも、この差ははっきり出ました。
転職回数を気にする会社と気にしない会社
5回の転職活動で、色々な会社を受けました。傾向はあります。
| 気にする傾向 | 気にしない傾向 |
|---|---|
| 日系大手の伝統的な企業 | 外資系企業 |
| 人事部門が強い会社 | 現場の部門長が採用権を持つ会社 |
| 「長期育成」を重視する会社 | 「即戦力」を求める会社 |
| 新卒採用がメインの会社 | 中途採用が多い会社 |
僕の肌感覚ですが、「なぜ転職が多いのか」を面接の最初に聞く会社は、回数を気にしています。逆に「で、何ができるの?」から入る会社は、回数をあまり気にしていません。
書類の段階で落ちるなら、その会社はそもそも転職回数でフィルタリングしている可能性が高いです。そういう会社は、面接に進めてもカルチャーが合わないことが多い。だから書類落ちは、むしろ時間の節約だと思うようにしていました。もちろん、落ちた瞬間はへこみます。
転職回数が「不利になった時」と「ならなかった時」
僕の場合、はっきり分かれました。
不利になった時は、1年半×2回が続いた3回目の転職活動でした。書類の段階で落ちまくり、面接に進んでも「なぜこんなに短いのか」を延々と聞かれて、本来やりたい仕事の話まで辿り着けない、ということが続きました。
不利にならなかった時は、大手小売グループで4年9ヶ月の実績を積んだ後の、5回目の転職活動です。書類はほぼ通り、面接で回数を聞かれても深掘りされず、「むしろ色々な環境を知っているのは強み」と言われました。大手保険会社の面接では、転職回数はほぼ話題にすらなりませんでした。
違いは明確で、直近の会社に目に見える実績があったかどうか、これに尽きます。実績があれば過去の短期離職はほとんど問題にされず、実績がないまま回数だけ増えると、どんどん不利になっていきます。
転職回数が多い人へ
ここまで読んで、「5回も転職したのか」と思った人もいるはずです。「自分も回数が多くて不安だ」という人もいるかもしれません。
僕が5回の転職で学んだことは、たった一つです。
転職回数は、実績で上書きできます。
1年半で2社辞めた僕でも、その後に大手小売グループで4年9ヶ月踏ん張って実績を作ったら、5回目の転職では回数を気にされなくなりました。年収は400万から1200万になりました。
もちろん、回数は少ないに越したことはありません。「奈良に帰る」なんて嘘をついた自分を、今でも情けなく思います。でも、その失敗も含めて今の僕があります。
転職回数が多いことに悩んでいるなら、まずは今いる場所で実績を作ること。そして次の面接では、その実績を軸に2フェーズで語ること。それが一番の近道だと、僕は思っています。
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