※本記事には広告(プロモーション)が含まれます。
このガイドで分かること
僕は退職代行を「使った側」ではありません。「受けた側」です。
大手企業で管理職をしていたとき、部下の退職を何度も受けてきました。退職代行からの連絡が職場に入ったとき、会社の中で何が起きるのかも見てきました。だからこそ言えることがあります。
退職代行は、どこを選ぶかで「できること」が法律レベルで変わります。 値段やネームバリューだけで選ぶと、有給の交渉ひとつできない業者に2万円を払うことになりかねません。
このガイドでは、4回の退職経験と管理職としての実務視点から、次の3つを解説していきます。
1. 退職代行の3つの運営形態と、それぞれが法律上できること 2. 2026年6月時点の主要サービスの料金と特徴 3. 失敗しない選び方の手順(チェックリスト付き)
なお、2026年は退職代行業界にとって特別な年になりました。最大手だったモームリの元社長が弁護士法違反の疑いで逮捕され、初公判で起訴内容を認めたと報道されています(詳しくはモームリ事件のその後にまとめました)。「どの業者なら法的に安全なのか」を見極める目が、これまで以上に大事になっていると思います。
大前提:退職代行を使うこと自体は適法
最初に不安を消しておきます。退職は労働者の権利で、期間の定めのない雇用契約なら、民法627条により申し入れから2週間で雇用契約は終了します。会社の承認は要りません。
そして、退職の意思を第三者に伝えてもらうこと自体に違法性はありません。問題になるのは「業者が法律上できない行為(交渉など)をした場合」で、これは業者選びで回避できます。詳しくは退職代行は違法?非弁行為の境界線で解説しています。
退職代行の3つの運営形態——ここが選び方の9割
退職代行は運営元によって3種類に分かれます。ここで選び方のほぼすべてが決まると僕は思っています。
| 運営形態 | 退職意思の伝達 | 有給・退職日の交渉 | 未払い賃金などの請求 | 料金相場 |
|---|---|---|---|---|
| 民間企業 | ○ | ×(やれば違法) | × | 1.5〜3万円 |
| 労働組合 | ○ | ○(団体交渉権) | △(裁判は不可) | 2〜3万円 |
| 弁護士 | ○ | ○ | ○(訴訟対応まで可) | 3〜7万円 |
この表で押さえてほしいことが2つあります。
ひとつは、民間業者にできるのは「伝えること」だけ、という点。「有給を消化したい」「退職日を月末にしたい」といった調整は法律上の「交渉」にあたり、弁護士資格のない民間業者がやると弁護士法72条違反(非弁行為)になります。会社側が「認めません」と言ったら、民間業者にできることはほぼありません。
もうひとつは、労働組合なら「交渉」ができるということ。憲法28条と労働組合法に基づく団体交渉権があるため、有給消化や退職日の調整を会社と交渉できます。それでいて料金は民間とほとんど変わりません。だから迷ったら労働組合運営、というのが僕の考えです。
パワハラの慰謝料請求や未払い残業代の回収までやりたいなら、最初から弁護士に依頼したほうがいいと思います。この3形態の違いは労働組合と弁護士の退職代行の違いでさらに詳しく書きました。
主要退職代行サービスの比較(2026年6月時点)
※料金検証日:2026年6月10日。料金・キャンペーンは変動するため、申し込み前に必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
| サービス | 料金(税込) | 運営形態 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 退職代行ガーディアン | 19,800円 | 労働組合 | 東京都労働委員会認証の合同労組。雇用形態問わず一律・追加費用なし、交渉可 |
| 退職代行Jobs | 27,000円 | 民間(労組連携) | 顧問弁護士監修。労組加入の安心パック29,000円で交渉に対応 |
| 辞めるんです | 27,000円 | 民間(労組提携) | 後払い対応(審査なし)・全額返金保証 |
| 退職代行EXIT | 15,000円 | 民間 | 業界最安級(2回目以降10,000円)。意思伝達のみでよい人向け |
| 弁護士法人みやび | 27,500円〜 | 弁護士 | 交渉込みプランは55,000円。未払い賃金・慰謝料請求まで対応 |
タイプ別のおすすめ
- ▸とにかく確実に、有給も消化して辞めたい → 労働組合運営(ガーディアンなど)。交渉力と料金のバランスが一番いいと思います
- ▸手持ちが少ない・払って失敗したくない → 後払い対応の辞めるんです。料金の考え方は安い退職代行と後払いの比較で詳しく
- ▸パワハラ・未払い残業代など会社と争う可能性がある → 弁護士一択(みやびなど)。労組では訴訟対応ができません
- ▸円満退職が見えていて、伝えるだけでいい → 民間最安級のEXITでも足ります
「受けた側」だから言える、業者選びで本当に大事なこと
管理職として退職代行からの連絡を受けた経験から言うと、会社側の対応は「どの形態の業者から連絡が来たか」でけっこう変わります。
民間業者からの連絡なら、人事は「本人の意思確認ができないので」と手続きを引き延ばす余地があります。労働組合や弁護士からの連絡なら、会社側は法務・人事マターとして淡々と処理します。団体交渉や法的請求に発展するリスクを、会社のほうがよく分かっているからです。
もうひとつ。退職代行が入った後の社内は、あなたが想像するほど騒ぎません。残った側は粛々と引き継ぎを整理し、人事は規定通りに書類を出します。会社って、人が抜けても回るようにできていたりします。「申し訳なくて使えない」と感じている人は退職代行への罪悪感との向き合い方も読んでみてください。
失敗しない退職代行の選び方チェックリスト
申し込む前に、最低限この5つは確認しておきましょう。
1. 運営形態が明記されているか——「労働組合」「弁護士法人」の名称が公式サイトで確認できるか。曖昧な業者は避ける 2. 「交渉」を約束する民間業者を避ける——民間なのに「有給交渉します」と書いてある業者は非弁リスクがある 3. 追加料金の有無——「一律◯円・追加なし」と明記されているか 4. 連絡手段と対応時間——LINE相談の返信が速いか。即日対応の条件は何か 5. 支払いタイミング——前払いか後払いか。返金保証の条件
辞めた後のことも、少しだけ考えておく
退職代行で辞めること自体は、転職活動でほぼ問題になりません。退職証明書や離職票に「退職代行を利用した」とは書かれないからです(例外も含めて退職代行は転職に不利になる?で解説しました)。
ただ、僕が4回の転職で学んだのは、「辞める」と「次を決める」はセットで動かしたほうが圧倒的に楽だということです。在職中に転職エージェントへの登録だけでも済ませておくと、辞めた後の空白期間の不安がまったく違います。転職ノウハウのカテゴリに職務経歴書の書き方からエージェントの使い方までまとめているので、退職の手配と並行して眺めてみてください。
よくある質問
Q. 退職代行を使うのは違法ではない?
A. 使うこと自体は適法です。退職は民法627条で認められた労働者の権利で、意思を第三者に伝えてもらうことに違法性はありません。ただし民間業者が有給などの「交渉」をすると弁護士法違反になるので、交渉が必要なら労働組合か弁護士運営を選んでください。
Q. 即日辞められる?
A. 「翌日から出社しない状態」をつくることは多くの場合できます。正社員は退職の意思表示から2週間で契約が終了し、その期間を有給消化や欠勤で埋める形になります。有給消化を会社と交渉できるのは労働組合か弁護士運営だけ、という点はここでも効いてきます。
Q. 料金相場はいくら?
A. 実績ある業者で1.5〜3万円です(2026年6月時点)。民間は1.5〜3万円、交渉ができる労働組合運営は2〜3万円、未払い賃金請求まで対応する弁護士運営は3〜7万円が目安です。
まとめ:迷ったら「労働組合運営」から検討する
- ▸退職代行は適法。ただし運営形態で「できること」が法律レベルで変わる
- ▸民間は伝達のみ、労働組合は交渉可、弁護士は法的請求まで可
- ▸料金相場は1.5〜3万円。労組運営なら2万円弱で交渉力まで手に入る
- ▸会社と争う可能性があるなら最初から弁護士へ
- ▸辞める手配と並行して、次の準備(エージェント登録)も進めると楽になる
あなたの心と体より大事な会社は存在しません。「言い出せない」だけで消耗し続けているなら、退職代行は逃げではなく、まっとうな手段のひとつだと僕は思っています。
*本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。*
