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退職代行モームリ逮捕のその後|まだ使って大丈夫?安全な選び方

退職代行モームリ逮捕のその後|まだ使って大丈夫?安全な選び方

2026-06-10

8分で読めます

退職代行モームリ安全性ニュース解説

※本記事には広告(プロモーション)が含まれます。

「退職代行モームリの社長が逮捕されたらしい」——このニュースを見て、「退職代行ってもう使わない方がいいのかな」と不安になった人は多いと思います。

実際、モームリは業界最大手クラスの知名度があったサービス。その運営会社のトップが逮捕されたとなれば、「退職代行そのものがヤバいのでは?」と感じるのも自然な反応ですよね。

最初に言っておきたいのは、退職代行というサービス自体は、適法に使えるということ。今回の事件で問われたのは「退職代行という行為」ではなく、「運営のやり方」のほうです。だからこそ、利用者側が運営形態を理解して選ぶことが、これまで以上に重要になったと思っています。

僕自身は退職代行を使った経験はありません。ただ、転職を4回して5社を経験し、大手企業では管理職として労務・人事まわりの対応を見てきました。その「会社側から退職を見てきた」視点も交えながら、事件の経緯と、それでも安全に退職代行を使う方法を整理していきます。

モームリに何が起きたのか(時系列で整理)

事実関係から。報道をもとに時系列で整理するとこうなります。

時期出来事
2025年10月運営会社の株式会社アルバトロスに、弁護士法違反の疑いで警視庁が家宅捜索
2026年2月当時の社長と妻の執行役員が、弁護士法違反(非弁提携など)の疑いで逮捕・起訴
2026年4月1日社長が代表を辞任。元広報担当の女性が新代表に就任
2026年4月23日新体制での経営体制変更を発表し、退職代行の新規受付を再開
2026年5月26日東京地裁での初公判で、元社長と妻が起訴内容を認める
2026年6月5日論告求刑公判。検察は元社長に懲役2年などを求刑。判決は8月28日の予定

報道によると、逮捕容疑の中身は「弁護士資格がないのに、報酬目的で依頼者の退職交渉に関する法律事務を提携弁護士に紹介・あっせんし、紹介料を別の名目で受け取っていた」というもの(出典: 日本経済新聞時事通信)。

検察側の主張では、顧客1人あたり1万6500円の紹介料を「労働組合への賛助金」や「アフィリエイト広告の業務委託料」といった名目で受け取り、その対象は約1年8カ月で174人分・280万円余りに上ったとされています。

ポイントは、「退職代行を運営していたこと」自体が罪に問われたわけではないということです。問われたのは、弁護士への顧客あっせんと紹介料の受け取り——いわゆる「非弁提携」のほうです。

逮捕容疑の「非弁提携」とは何か

ここが今回の事件の核心なので、少し丁寧に説明したいと思います。

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬目的で法律事務(交渉や法的トラブルの代理など)を扱うことを禁じています。いわゆる「非弁行為」です。さらに弁護士法72条・27条まわりの規制では、非弁護士が報酬目的で弁護士に案件を紹介し、紹介料を受け取ること(非弁提携)も禁止されています。

退職代行に当てはめると、運営形態ごとにできることが法律で明確に分かれています。

  • 民間企業の退職代行: できるのは「退職の意思を会社に伝達する」ことまで。有給消化や退職日の調整を会社と「交渉」することはできない
  • 労働組合運営の退職代行: 憲法・労働組合法で保障された団体交渉権に基づき、組合員のために会社と交渉できる
  • 弁護士の退職代行: 交渉に加えて、未払い残業代請求や損害賠償への対応など、法律事務全般を代理できる

つまり、民間業者が「交渉までやります」と言ったら、その時点で非弁行為の疑いが出ます。報道によると、モームリは交渉が必要な案件を提携弁護士に流す形を取っていて、その際の紹介料の受け取り方が違法と判断された、という構図とされています。

このあたりの法的な境界線は、別記事の退職代行は違法?非弁行為の境界線で詳しく解説しているので、深く知りたい人はそちらも読んでみてください。

事件の経緯や論点の詳細は、ベンナビ労働問題の解説記事もわかりやすいです。

その後どうなった?営業再開と裁判の現状

「モームリ事件 どうなった」と検索している人が一番知りたいのは、たぶんここだと思います。2026年6月10日時点の状況を整理しておきます。

会社側: 代表を刷新して営業再開

東京商工リサーチの記事などによると、アルバトロスは2026年4月1日付で当時の社長が代表を辞任し、元広報担当の女性が新代表に就任。4月23日に経営体制の変更を発表し、退職代行の新規受付を再開しました。

会社側は「外部専門家の助言を受けながら、法令順守体制および内部管理体制の見直しと強化を徹底する」と説明しています(出典: ITmedia NEWS)。

裁判: 元社長らは起訴内容を認め、判決待ち

2026年5月26日の初公判で、元社長と妻は起訴内容を認めました。6月5日の論告求刑公判では、検察側が元社長に懲役2年、妻に懲役1年6月、法人としての同社に罰金200万円を求刑。弁護側は「弁護士が了承していた支払いを、一般人である被告が問題ないと受け取るのは当たり前」などと主張していて、判決は2026年8月28日に言い渡される予定です。また、紹介を受けていた提携弁護士側にも有罪判決が出たと報じられています。

現時点では、「会社は新体制で営業中、刑事裁判は判決待ち」という状態です。係争中の事件なので、この記事でも個人への評価は控えますが、少なくとも「起訴内容を本人たちが認めた」ことまでは確定した事実として報じられています。

この事件が業界に与えた影響

僕はこの事件を「モームリ=悪」という単純な話にしない方がいいと思っています。むしろ本質は、退職代行業界が抱えていた構造的な問題が、最大手の摘発という形で可視化されたことです。

退職代行のニーズは年々増えていて、民間業者も乱立しています。ただ、民間業者ができるのは法律上「意思の伝達」までです。一方で、利用者の依頼には有給消化や未払い賃金など「交渉」が必要なケースが一定割合で混ざります。ここに、民間業者が弁護士と組みたくなる構造的な動機があって、その提携のやり方を一歩間違えると非弁提携になる——今回の事件は、そのリスクが現実になった形なのだと思います。

管理職として会社側で労務対応を見てきた立場から言うと、退職代行経由の退職連絡は、ここ数年で特別なものではなくなっていました。会社側も「退職代行が来たら人事に回す」というオペレーションが整いつつあります。退職代行という仕組み自体は、もう社会に組み込まれていると言っていいでしょう。だからこそ、事件後に問われているのは「使うか使わないか」ではなく、「どの運営形態の業者を選ぶか」なのだと思います。

実際、事件後の報道や業界の動きを見ると、「運営形態の透明性」や「弁護士・労働組合との関係の適法性」を打ち出す業者が増えています。利用者のリテラシーが上がれば、業界の健全化につながります。その意味でこの事件は、利用者側にとっても「選び方を学ぶ機会」になった気がします。

それでも退職代行を安全に使うには

ここまでの話を踏まえて、「じゃあどう選べばいいのか」を整理しておきます。見るべきポイントは3つです。

1. 運営形態を必ず確認する

前述の通り、退職代行は「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3形態に分かれ、できることが法律で違います。

  • 退職の意思を伝えるだけでいい → 民間でも可
  • 有給消化や退職日の調整など、会社との交渉が必要 → 労働組合か弁護士
  • 未払い残業代の請求、パワハラの損害賠償など法的トラブルがある → 弁護士一択

自分のケースに交渉が必要かどうかわからない人は、最初から労働組合か弁護士運営を選んでおくのが安全だと思います。3形態の違いは労働組合と弁護士の退職代行の違いで詳しく比較しています。

2. 「できること」の説明が誠実かを見る

民間業者なのに「会社と交渉します」とうたっていたら、それ自体が危険信号。逆に「当社ができるのは意思の伝達までです。交渉が必要な場合は〜」と限界を明示している業者は、法的な線引きを理解して運営している可能性が高いです。

3. 料金体系と追加費用の透明性

相場から極端に外れた格安料金や、後から追加費用が発生する仕組みは要注意です。労働組合運営なら組合費の扱い、弁護士なら着手金・成功報酬の構造まで、事前に明示されているかを確認しておきましょう。

具体的なサービスの比較や選び方の手順は、安全な退職代行の選び方 完全ガイドにまとめているので、実際に検討している人はこちらをチェックしてみてください。

まとめ: 事件で変わったのは「選び方の基準」

要点だけ整理しておきます。

  • モームリ事件で問われたのは「退職代行という行為」ではなく、弁護士への顧客あっせんと紹介料の受け取り(非弁提携)という「運営のやり方」
  • 元社長らは初公判で起訴内容を認め、判決は2026年8月28日予定。会社は代表を刷新して営業を再開している
  • 退職代行というサービス自体は、今も適法に使える
  • 大事なのは運営形態の見極め。交渉が必要なら労働組合か弁護士、法的トラブルがあるなら弁護士を選ぶ

退職は労働者の権利ですし、自分で言い出せない状況に追い込まれること自体は、誰にでも起こりえます。事件のニュースだけを見て「退職代行は全部危ない」と思考停止するのではなく、仕組みを理解して、適法に運営されているサービスを選ぶ。それが、この事件から僕らが学ぶべきことだと思います。

※本記事の事件に関する記述は、2026年6月10日時点の各社報道に基づいています。裁判は係争中であり、今後の判決等により状況が変わる可能性があります。

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