「ITエンジニア 転職エージェント おすすめ」で検索すると、25社比較、32社比較、41社ランキングといったページが並びます。上位を何本か読んでみたのですが、41社を眺めても「で、自分はどこに登録すればいいのか」は決まりませんでした。求人数と星の数が並ぶだけで、選ぶための軸がないからです。
僕はエンジニアではありません。デジタルマーケティングを仕事にしていて、これまで5回転職しています。使ったのはdoda、JACリクルートメント、リクルートエージェント、ギークリー、パソナ、コトラ、ビズリーチなど。加えて、事業会社でDX推進をやっていた時期に、隣でエンジニア採用が動いているのを見ていました。
この記事ではまず専門特化型・総合型・スカウト型が構造的に何が違うのかを整理して、そのうえで主要サービスを2026年8月時点の公表数字で並べます。
まず結論|タイプ別の使い分け早見表
自分の状況に近い行を1つ選んでください。ここでほぼ決まります。
| あなたの状況 | まず登録する型 | 具体例 |
|---|---|---|
| 実務3年以上・自社開発やWeb系で年収を上げたい | 専門特化型を主軸に | レバテックキャリア、Geekly |
| 実務3年以上・GitHubに出せるものがある・急いでいない | スカウト型で市場価値を測る | Findy、Green |
| SIer・社内SE・地方在住でエリアを選べない | 総合型を主軸に | リクルートエージェント、doda |
| 実務1〜3年・初めての転職・進路から相談したい | 総合型+特化型を各1社 | doda + type転職エージェントIT |
| 実務1年未満・独学やスクール卒 | スキル可視化型+総合型 | paiza転職 + doda |
| 年収800万円以上・マネジメントを含む | 特化型+ハイクラススカウト | レバテックキャリア、ビズリーチ |
3つの型の違いを、もう少し構造で見るとこうなります。
| 専門特化型 | 総合型 | スカウト型 | |
|---|---|---|---|
| 間に立つ人 | IT職を専門に見る担当者 | 業界・エリアで担当が分かれる | いない(企業と直接) |
| 求人の出所 | IT企業との反復取引 | 全業界・全職種の網 | 企業が自分で掲載・スカウト |
| 強い局面 | 同職種での条件アップ | 職種変更・エリア分散 | 市場価値の測定・技術での評価 |
| 弱い局面 | 首都圏偏重・未経験に薄い | 技術要件の解像度が粗い | 翻訳も交渉も全部自分 |
| 合う人 | 経験者 | 相談しながら決めたい人 | アウトプットが外に出ている人 |
「全部登録すればいい」という話ではありません。理由は後半で書きますが、増やすほど良くなるものではないんです。
専門特化型と総合型は、何が構造的に違うのか
比較記事の多くは、この違いを「特化型は業界に詳しい」「総合型は求人が多い」で済ませます。それだと結局どっちを選ぶか決まらないので、もう一段だけ分解します。
違い1:担当者の技術理解は「組織の切り方」から生まれる
総合型は、担当者が業界×エリアで割り振られていることが多い。IT・通信の担当でも、その日はメーカーや金融の求人も見ています。対して特化型は、組織そのものがIT職の軸で切られている。レバテックキャリアはアドバイザーが年間累計7,000回以上企業を訪問していると公表していますが、これは「同じ企業に何度も足を運ぶ関係」が業務に組み込まれている、という意味です。
僕がdodaを使ったとき一番ありがたかったのは、「広告運用とWebマーケしかやっていない」と思っていた自分の経歴を、「デジタルマーケティングの実務経験者として大手の新規事業に刺さる」と言い換えてくれたことでした。総合型の担当者の力はここにある。自分の経験を、行き先の会社の言葉に翻訳してくれる。
ただ、エンジニアの技術要件になると事情が変わります。モノリスからの分割を経験したか、レビュー文化があるチームにいたか。この粒度は翻訳ではなく理解の問題で、理解のない担当者を通ると、企業側には「Java 5年」みたいに圧縮された情報だけが届く。現場のエンジニアが「エージェント経由の候補者は書類だけだと判断できない」と言うのは、多くの場合その人の能力ではなく、途中の情報の目減りの問題です。
違い2:非公開求人は「数」ではなく「種類」が違う
どの比較記事も非公開求人の多さを推しますが、非公開になる理由は一つではありません。
総合型の非公開は、「公開すると応募が殺到して捌けない」「組織改編や欠員補充で公にできない」が中心。公開求人と性質は同じで、事情があって隠れているだけです。だから数の多さに意味がある。
特化型の非公開は理由が違います。「技術要件が特殊すぎて求人票の文字では伝わらない」「チームの内情とセットで説明しないと誤解される」というタイプ。新規プロダクトの立ち上げ、技術負債の返済専任、CTO直下の少人数チーム。公開しても応募の質が上がらないので、話せる担当者を経由してしか流通しません。
だから非公開求人への問いは「何件ありますか」ではなく「そのポジションが非公開なのはなぜですか」です。具体的に答えられる担当者は現場情報を持っている。「弊社独自のネットワークで」で終わるなら、その人にとっての非公開は単なる在庫です。
違い3:ビジネスモデルは同じ。だから行動が読める
特化型も総合型も収益構造は変わりません。成功報酬=入社する人の年収×30〜35%。年収400万円の人と1,000万円の人では、受け取る金額が2.5倍違います。
僕はこれを態度の変化として体験しました。1回目の転職でリクルートエージェントに行ったときは、キャリアも年収も低く、職務経歴書も用意しておらず、正直あまり相手にされなかった。数年後、年収が上がった状態で再登録したら、なぜか同じ担当者が付いて、対応がまるで別物になっていました。変わったのは僕の年収だけです。
意地悪な話ではなく、構造として当たり前のこと。だから逆算できます。年収が低い段階では、報酬の期待値ではなく「早く決まりそうだ」という期待値で勝負するしかない。その材料が職務経歴書です。
登録から面談までの数日で書類を作り込み、面談で「どこか指摘してください」と差し出す。これで担当者の温度が変わります。何を書けば通るかはエージェントが動きたくなる職務経歴書の書き方にまとめました。エンジニアなら、担当プロダクトの規模(MAU、リクエスト数、データ量)と自分が触った範囲の境界線を足すだけでも変わるはずです。
主要サービスを2026年8月時点の数字で見る
先に注意点をひとつ。求人数は各社で数え方が違います。1つの求人票に複数ポジションが入っていたり、職種別に分割されていたり、グループ全体の数字だったり。横並びの数字は「規模感の目安」にとどめてください。以下は各社が公表している、時点表記つきの数字です。
レバテックキャリア(専門特化型)
ITエンジニア・クリエイターに特化して15年以上。公開求人数58,580件(2026年7月時点)は特化型として最大級です。
ただ、示唆的なのは別の数字のほう。同じ58,580件のうち「実務経験が浅い方OK」にチェックが入っている求人は331件(2026年7月時点)、全体の0.6%程度でしかありません。経験者の条件アップに全振りしたサービスだと数字が語っています。実務3年以上なら第一候補、経験1年未満なら別の入り口を探すほうが早い。
Geekly(専門特化型/IT・Web・ゲーム)
求人37,000件以上(2026年7月時点)。IT・Web・ゲーム業界に特化し、平均年収アップ額85万円(2026年3月時点・エンジニア職種)、転職後定着率97%、累計支援23,000件以上(2026年5月時点)を公表。登録から内定まで平均1ヶ月というスピードも売りです。
僕は1回目の転職でギークリーを使いました。渋谷のおしゃれなオフィスで、面談に行ったその場で求人を何件も出してくれた。ただ当時の僕には、それが「自分を見てくれている」ではなく「企業側の需要から逆算して当てている」ように感じられて、うまく乗れませんでした。相性の話であって、欠点ではありません。行き先が決まっている人にはこの速度が武器になる一方、「何がしたいか自体を整理したい」段階だと置いていかれる。平均1ヶ月という数字はその裏返しでもあります。
type転職エージェントIT(専門特化型/一都三県)
公開求人8,506件のうちIT・Web業界が約65%、非公開が約6,000件(いずれも2026年5月時点)。規模では前2社に及びませんが、エンジニア・クリエイターの年収アップ率78%(2021年10月〜2022年9月)、ITエンジニアの定着率98.1%(2023年4〜12月)と、成果側の数字を細かく出しています。
特徴は対象エリアで、一都三県での転職に特化と公式に明記。弱点ではなく設計で、絞っているぶん企業との距離が近い。首都圏で初めて転職するなら、総合型と組み合わせる1社として使いやすいと思います。
Findy/Green(スカウト型・直接やり取り型)
FindyはGitHubと連携して開発言語ごとの「スキル偏差値」を算出し、それをもとに企業からスカウトが届く仕組み。累計会員登録は約26.7万人、導入企業4,000社以上で、想定年収を出す予測機能もあります。価値は求人数ではなく、転職する気がなくても自分の市場価値を数字で見られること。活動前に「今いくらの人間として見られているか」を知ると、後の年収交渉で腰が据わります。ただし業務コードを外に出せない環境だと偏差値が実力を反映しないので、これ単体で判断しないほうがいい。
Greenは求人28,387件(2026年8月時点)、累計利用企業10,000社(2026年6月時点)、累計登録者150万人。エージェントを挟まず企業の採用担当と直接やり取りできます。採用側から見ると、Greenは現場の担当者が自分で運用していることが多い媒体で、返信の温度や速度から、その会社が採用にどれだけ本気か、現場に裁量があるかが透けて見える。
paiza転職(スキルチェック型)
登録者92万人規模のITエンジニア専門サービス。スキルチェックでS〜Dのランクが付き、Bランク以上で書類選考なしの「プレミアムオファー」が届く仕組みです。掲載社数1,600社以上(2023年1月時点)。
学歴も職歴も見ずコードだけで判定されるので、経歴に自信がない人ほど相性がいい。実務1年未満、スクール卒、独学組にとっては数少ない「経歴で足切りされない入り口」です。学習中なら、給付金対象のプログラミングスクールで受講料を抑え、そこで作った成果物とpaizaのランクをセットで持ち込む形が現実的でしょう。
リクルートエージェント/doda(総合型)
リクルートエージェントは公開求人76万件・非公開27万件(2026年8月時点・全職種)、IT領域だけでも公開求人25万件以上(2026年5月時点)。エリアの網羅性は他の追随を許しません。地方でのIT転職、あるいは職種の輪郭が変わる転職なら、まずここです。
dodaは転職サイト・エージェント・スカウトが1つのIDにまとまっているのが構造上の強み。個人的には、5回の転職で使った全サービスの中でdodaが一番良かった。2回目と4回目はどちらもdoda経由で決まっています。4回目は合う求人が出ずに1年近くかかったのですが、その間ずっと担当者が毎週10分ほど電話で話し続けてくれました。求人がない週も「今週は動きがないですが」から会話が始まる。あの粘り強さは、担当者個人の資質と、LINE・アプリまで揃った連絡設計の両方だったと思います。
具体的な付き合い方(連絡頻度、断り方、担当変更の申し出)は転職エージェントとの付き合い方に別途書いています。
何社登録すべきか|複数登録の是非と現実的な使い分け
比較記事は例外なく「複数登録がおすすめ」で締めますが、上限を書いている記事はほとんど見たことがありません。僕の結論は3〜4社。内訳は専門特化型1〜2社+総合型1社+スカウト型1社です。
増やしすぎると、具体的にこうなります。
時間が足りなくなる。 初回面談は1社1〜1.5時間、その後も週次で連絡が来ます。5社6社に広げると面談と返信だけで平日の夜が消える。結果を分けるのはエージェントの数ではなく、1社ごとの選考準備のほうです。
重複応募の事故が起きる。 同じ企業に2社から推薦が入ると、企業側で「どちらの紹介として扱うか」の処理が必要になり、最悪そこで選考が止まります。手数料の帰属が絡むので企業も慎重にならざるを得ない。応募先の一覧は必ず自分の手元で管理してください。スプレッドシート1枚で足ります。エージェント側では防げません。
自分の話がブレる。 4社に4回志望動機を話していると、相手の反応に合わせて内容が微妙に変わっていく。軸がぶれた状態で面接に入ると、深掘りで崩れます。
逆に、複数登録が明確に効く場面もあります。ひとつは職務経歴書のブラッシュアップ。同じ書類を複数の担当者に見せて「気になるところを指摘してください」と言うと、指摘が重なる箇所と分かれる箇所が出てくる。重なるところが確実な弱点なので、そこから直します。もうひとつは同じ企業の情報を別ルートで照合すること。特化型の担当者から聞いた「開発チームは10人でレビュー文化がある」を、Greenでその会社の担当者に直接確かめる。一致すれば信頼できるし、ずれていれば理由を面接で聞けます。
それと、担当者は選び直していい。相性の悪い担当者と付き合い続けるのは、選択肢を1つ潰しているのと同じです。
年収を上げる交渉の実務
エンジニア転職はレンジが広く、同じスキルでも会社によって数百万円変わります。だから交渉の巧拙が結果に直結する。押さえるのは5点です。
1. 現年収は「総額」ではなく内訳で伝える。 基準給、賞与(実績と支給月数)、みなし残業の有無と時間、各種手当。分解して渡せば「賞与比率が低いので月額ベースだと実質はもっと上」という説明が企業側にできます。総額だけ伝えると、その数字が天井になる。
2. 希望年収は根拠とセットで。 「今より100万上げたい」ではなく「同職種・同規模のレンジがこの水準で、自分は担当範囲がここまで広い」と組み立てる。Findyの年収予測やスカウトの提示レンジが根拠に使えます。
3. 交渉が動くのは内定「前」。 オファーレターが出た後の金額はほぼ動きません。条件のすり合わせは最終面接の前後、意向確認のタイミングで起きています。
4. 現年収は盛らない。 源泉徴収票の提出を求められる会社は珍しくない。数字が食い違えば、条件の再提示どころか内定自体が危うくなります。
5. エージェントの利害は基本的に一致している。 報酬が年収×30〜35%である以上、あなたの年収が上がれば取り分も増える。交渉は積極的に頼っていい。ただし「決めてほしい」圧も同じ構造から生まれます。僕もJACリクルートメントで承諾を迷っていたとき、カフェまで来て押し込まれました。担当者自体はとても良かったのですが、あの局面だけは自分で時間を取るべきだった。
年収800万円を超えたあたりから、エージェントの顔ぶれも扱いも変わります。その水準の話は年収1000万超えたら転職エージェントが変わるに書きました。
まとめ
- ▸41社の比較表で選べないのは、軸ではなく在庫が並んでいるから
- ▸特化型と総合型の違いは、詳しさの程度ではなく組織の切り方と、非公開求人が非公開になる理由
- ▸特化型は経験者の条件アップに強く未経験には薄い(レバテックの「実務経験が浅い方OK」は0.6%)。総合型はエリアと職種変更に強く、技術要件の解像度では劣る
- ▸スカウト型は転職する気がなくても、市場価値の計測装置として使える
- ▸登録は3〜4社まで。応募先の一覧は自分で管理する
- ▸どのサービスを選ぶかより、面談に何を持っていくかのほうが結果を変える
最後の一行が、5回転職して一番強く思っていることです。僕は1回目の転職で職務経歴書を作らずにエージェントへ行って、その代償を払いました。登録は5分で終わりますが、面談までの数日で書類をどこまで仕上げられるかが、そのあとの数ヶ月を決めます。
