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転職するとNISAはどうなる?答えは「手続き不要」|本当にやることは年末調整まわりの3つ

転職するとNISAはどうなる?答えは「手続き不要」|本当にやることは年末調整まわりの3つ

2026-08-06

10分で読めます

NISA年末調整確定申告転職退職後の手続き

転職が決まったあと、ふと「そういえばNISAってどうなるんだろう」と気になった人へ。先に結論を書きます。

NISA口座は、転職しても手続きは要りません。 積立設定も保有している商品も、非課税の枠も、そのまま引き継がれます。会社に何かを届け出る必要もない。

理由は単純で、NISA口座は勤務先が用意しているものではなく、自分が金融機関に開いた個人の口座だからです。会社が変わっても、口座の持ち主は変わりません。

ただ、ここで安心して終わってしまうと危ない。転職まわりの「お金の手続き」には、放っておくと確実に損が出るものが混ざっています。それが年末調整・源泉徴収票・退職金の申告書という3つ。NISAを心配している時間があるなら、そっちを見たほうがいいというのが正直なところです。

僕は転職を5回しているので、入社手続きの書類束に「前職の源泉徴収票」の欄を見つける瞬間を5回経験しています。毎回どこかでつまずいた。ただ僕は税の専門家ではないので、ここでは国税庁・金融庁など公的な情報を2026年8月時点で確認したうえで、当事者としてハマった順に整理します。個別の金額や判定は、税務署の相談窓口か勤務先の担当部署で確認してください。

結論|転職でやること・やらなくていいこと早見表

対象転職時の手続き放置すると
NISA口座(自分で開設したもの)不要何も起きない(引き落とし口座だけ確認)
職場つみたてNISA個人契約への切り替え積立が止まったまま
持株会退会し、株を証券口座へ移管か売却手続きしないと精算が進まない
財形貯蓄転職先で継続手続き(退職後2年以内)非課税の扱いを受けられなくなる
企業型DC移換手続き(原則6ヶ月以内)自動移換され運用されない状態に
年末調整前職の源泉徴収票を転職先へ提出自分で確定申告することに
退職金「退職所得の受給に関する申告書」を退職前に提出支払額の20.42%が源泉徴収

太字の3つが本題です。順番に見ていきます。

NISAが転職の影響を受けない理由

金融庁の説明では、NISAは「銀行や証券会社などにNISA口座を開設する」もので、「口座は1人につき1口座のみ開設可能」。開設できるのは日本国内に住んでいる18歳以上の人、とされています。要件として並んでいるのは居住と年齢だけで、勤務先の話はどこにも出てきません。

現行のNISA(2024年開始)の枠も個人に紐づいています。つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円で合計360万円。非課税保有限度額は生涯1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。非課税保有期間は無期限で、口座開設期間も恒久化されました。この1,800万円という枠は「会社員である間だけ有効」といった性質のものではないので、転職でリセットされたり、無職期間があって消えたりすることはありません。

iDeCoのように「勤務先の変更を届け出る」手続きが発生する制度と混同されやすいのですが、NISAは構造が違います。会社は一切関与していない。

ただし、引き落とし口座だけは見ておく

実務として唯一やっておきたいのがこれです。積立の引き落とし口座を前職の給与振込口座にしている人は、給与が入らなくなった時点で残高が尽き、その月の積立がスキップされます。転職先の給与口座に変更するか、当面の分だけ資金を移しておく。5分で終わる話ですが、気づくのが数ヶ月後だと積立が虫食いになります。

引っ越しを伴う転職なら、金融機関への住所変更も同じタイミングで済ませておくと後が楽です。

影響が出るのは「給与天引きで成り立っているもの」

NISAと同じ引き出しにしまわれがちで、実際には転職の影響を直撃するのがこのグループ。共通点は、会社の給与天引きが前提になっていることです。

  • 職場つみたてNISA:会社が窓口になって給与天引きで積み立てる仕組み。退職と同時に天引きが止まります。同じ金融機関で個人契約に切り替えれば、口座と保有商品はそのまま引き継いだうえで銀行引き落としに変更できるのが一般的。放置しても資産が消えるわけではありませんが、積立は止まったままです。
  • 持株会:退職すると退会になります。単元株(多くは100株)は自分名義の証券口座へ移管、単元に満たない端株は原則として売却して現金で精算、という扱いが一般的。移管には2週間〜1ヶ月程度かかることがあり、個人の証券口座を持っていないと手続きが進みません。退職を決めた段階で口座の有無を確認しておくと詰まりません。
  • 財形貯蓄:勤労者財産形成事業本部の案内では、退職後2年以内に転職先で継続の手続きをすれば積立を続けられるとされています。転職先に財形制度がない場合は継続できないため、住宅財形・年金財形の非課税措置がどう扱われるかを退職前に確認しておきたいところ。
  • 企業型DC(確定拠出年金):これが一番、放置のダメージが大きい。加入者資格を失った日(退職日の翌日)の翌月から6ヶ月以内に移換手続きをしないと、年金資産が国民年金基金連合会へ自動移換されます。自動移換されると運用が止まったまま管理手数料だけが引かれ続け、加入期間にもカウントされません。2024年12月からは簡素化措置が始まり、6ヶ月以内に転職先の企業型DCやiDeCoの加入者になったことが確認できれば申し出なしで移換処理される運用になりましたが、確認が取れないケースは従来どおりです。詳しい流れは転職時の企業型DCの手続きにまとめています。

退職後の手続き全体の順番と期限は退職後の手続き一覧に整理してあるので、まとめて片付けたい人はそちらもどうぞ。

年末調整はどうなる?3つの分岐で決まる

ここからが本題です。国税庁によれば、12月に行う年末調整の対象になるのは「会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人」。よく「12月31日時点で在籍している会社が年末調整をする」と説明されるのは、この意味です。

自分がどのパターンかで、やることが変わります。

あなたの状況年末調整確定申告
年内に転職し、年末も転職先に在籍転職先が実施(前職分と合算)原則不要
12月末など、年をまたいで入社されない自分で必要
年末時点で無職・求職中されない自分で必要
年内に転職したが、源泉徴収票が間に合わなかったできない自分で必要

いちばん多い1行目のケースでも、転職先が勝手に完結してくれるわけではありません。国税庁は、年の中途で就職した人の年末調整について「ほかの会社などから支払を受けた給与がある人については、それらの給与を含めて年末調整を行う必要があります」としています。前職と現職の給与を合算しないと正しい税額が出ないため、前職の源泉徴収票の提出が必須になる。転職先から求められるのはそのためです。

僕の場合、退職から入社までの間隔が短い転職が多く、入社手続きの時点で前職の源泉徴収票がまだ手元にない、というのが毎回でした。「後日で構いません」と言われて、そのまま忘れかける。11月頃に人事からリマインドが飛んできて慌てる、というのを何度かやっています。入社時にもらう書類のどこかに提出期限が書いてあるはずなので、そこだけは先に確認しておくと後で焦りません。

前職の源泉徴収票が来ない・なくしたとき

源泉徴収票の交付は会社側の義務です。所得税法上、年の途中で退職した人には退職後1ヶ月以内に交付することとされています。とはいえ実務では、最後の給与や賞与の金額が確定してからの発行になるため、退職直後にすぐ届くとは限りません。

1ヶ月を過ぎても届かない場合の手順はこうです。

1. 前職の人事・給与担当に連絡する。再発行にも応じてもらえます(紛失した場合も同じ) 2. それでも交付されないときは、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する。交付期限を過ぎていれば、e-Taxでも書面でも提出できます

そして、年末調整に間に合わなかった場合。国税庁は前職分の確認ができないときについて「年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により所得税及び復興特別所得税の精算を行うことになります」としています。つまり詰みではなく、確定申告というルートに移るだけ。少し面倒ですが、税額が正しく精算されるという結果は変わりません。

退職金の20.42%という落とし穴

金額のインパクトでいえば、これが最大です。

退職金を受け取るとき、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者(勤務先)に提出したかどうかで、源泉徴収のされ方が大きく変わります。国税庁の説明では、

  • 提出した場合:退職所得の金額に応じた所得税等が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ない
  • 提出しなかった場合:「退職金等の支払金額の20.42パーセントの所得税額および復興特別所得税額が源泉徴収され」、受給者本人が確定申告で精算する

という違いになります。差が出るのは、退職所得控除が反映されるかどうか。控除額の計算式はこうです。

勤続年数A退職所得控除額
20年以下40万円 × A(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(A − 20年)

そのうえで、(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2 が退職所得の金額になります。控除が大きいので、勤続年数に対して退職金がそれほど大きくないケースでは、申告書を出していれば税額がほぼ出ない一方、出していないと支払額の20.42%がそのまま引かれる、という差が生まれます。

取り返せないわけではありません。確定申告をすれば精算されます。ただし手元に戻るのは翌年以降。退職時に渡される書類の束に紛れていることが多い書類なので、退職前にチェックしておくのが確実です。

むしろ確定申告した方が得なケース

「確定申告が必要」と聞くと面倒に感じますが、年の途中で退職した人にとっては、払いすぎた税金が戻ってくる手続きであることのほうが多い。

毎月の給与から引かれている所得税は、「その給与が1年間続く前提」の税額表で計算されています。年の途中で退職して空白期間ができると、実際の年収は想定より少なくなるのに、天引きされた額は多いまま。ここに払いすぎが発生します。年末に在籍している会社があればそこで自動的に清算されますが、年をまたいだ人や年末時点で無職の人は、自分で申告しない限り戻ってきません。

申告するときに効いてくる主な控除はこのあたり。

  • 空白期間に自分で納めた国民健康保険料・国民年金保険料(社会保険料控除)。任意継続の保険料も同じ扱いです
  • iDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)
  • 生命保険料控除・地震保険料控除など、本来なら年末調整で出すはずだった分
  • 医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例が使えない場合は申告が必要)

離職中の保険料は金額が大きくなりやすいので、どの制度を選んだかで控除額も変わります。選び方は退職後の保険証切り替えに比較を載せました。

逆に、申告に含めなくていいものが失業給付です。雇用保険法12条は「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」と定めていて、基本手当は非課税。収入として申告する必要はありません。ここを収入だと思い込んで、扶養の判定や申告で余計な計算をしてしまう人がいます。

なお、副業をしている人は転職の有無にかかわらず申告の判断軸が別にあります。20万円ルールの扱いは副業会社員の確定申告のやり方にまとめてあります。

僕が転職のたびに確認していること

最後に、順番だけ置いておきます。

退職前

1. 退職金がある場合、「退職所得の受給に関する申告書」を提出したか 2. 持株会・財形貯蓄をやっているなら、退会や継続の手続き 3. 企業型DCの資産をどこへ移すか(6ヶ月の期限を意識する)

退職後

4. 源泉徴収票が1ヶ月以内に届くか。届かなければ前職へ連絡 5. NISAの引き落とし口座が前職の給与口座のままになっていないか

入社後

6. 前職の源泉徴収票を転職先へ提出(提出期限を先に確認しておく)

NISAが5番目に出てくるあたりが、この記事で伝えたかったことのすべてです。転職でNISAに起きることは、ほぼ何もない。 心配すべきは、期限があって、放っておくと自動的に不利な処理をされる書類のほうでした。

税金の扱いは勤続年数や退職金の額、その年の収入構成で結論が変わります。ここに書いたのは2026年8月時点の一般的な枠組みなので、自分のケースでいくら戻るのか・何を出すべきかは、税務署の相談窓口か勤務先の担当部署に確認してください。

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デジタルマーケティング歴10年。5社の転職で年収3.5倍を実現。 「出世しなくても環境を変えるだけで年収は上がる」をテーマに発信中。