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教育訓練休暇給付金とは?2025年10月開始|対象条件・いくらもらえるか・申請の流れ

教育訓練休暇給付金とは?2025年10月開始|対象条件・いくらもらえるか・申請の流れ

2026-08-06

13分で読めます

資格転職

「教育訓練休暇給付金」という制度名を最初に見たとき、僕は教育訓練給付金の書き間違いだと思いました。似すぎているんですよね。でもこの2つ、まったくの別物です。「休暇」という2文字が入るかどうかで、国が面倒を見てくれる中身が変わります。

先に結論から。

  • 教育訓練給付金……受講料の補助。払った学費の一部が後から戻る
  • 教育訓練休暇給付金……生活費の保障。学ぶために無給で休んでいる間の、収入の代わり

2025年10月1日に創設されたのが後者です。会社を辞めずに、就業規則に基づく30日以上の無給休暇を取って学びに専念する人へ、失業給付(基本手当)に相当する額が支給されます。「本気で勉強するなら休むしかないが、休めば収入がゼロになる」という詰みかけの二択に、ようやく選択肢が増えた、という話ですね。

この記事は、厚生労働省のパンフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」と労働政策審議会の部会資料をもとに、2026年8月時点で公式に確認できる内容だけを整理しました。金額は2026年8月1日に改定されたばかりの基本手当日額を使っています。

教育訓練給付金との違いを表で整理する

名前の似た2制度をきっちり分けます。ここが混ざっていると、この先の話が全部ぼやけます。

項目教育訓練給付金教育訓練休暇給付金
何を支援するか受講費用(学費の一部)休暇期間中の生活費
開始時期従来からある制度2025年10月1日創設
休暇の取得不要。働きながら受講してよい必須。30日以上連続の無給休暇
会社の関与原則不要就業規則の休暇制度+事業主の承認が必要
もらえる額受講費用の20〜80%(種類による)賃金日額をもとに算定した給付日額×給付日数
支給のタイミング原則、受講修了後休暇中に30日ごと
手続きの起点原則、受講開始前休暇開始後(事業主の届出が先)

教育訓練給付金は「学費が安くなる制度」、教育訓練休暇給付金は「休んでも食べていける制度」。守備範囲が違うので、対立するものではありません。

重要なのは、この2つが排他的ではないこと。厚労省のパンフレットには「教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合であっても、教育訓練給付金に係る支給要件期間には影響しない」とはっきり書かれています。片方をもらったせいでもう片方が使えなくなる、という関係にはなっていません。

教育訓練給付金そのものの仕組み(3種類の違い、対象講座の探し方、受講開始前の手続き)は教育訓練給付金の完全ガイドで詳しく書いています。

対象になるのはどんな人か

雇用保険の一般被保険者であることに加えて、次の2つを両方満たすことが必要です。

  1. 休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること(原則、11日以上の賃金支払いの基礎となった日数がある月が対象)
  2. 休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること

1つ目は失業給付でもおなじみなので、普通に働いている会社員ならまず引っかかりません。実質的な関門は2つ目の「5年以上」です。新卒3年目でスクールに行きたい、という人はここで止まります。なお高年齢被保険者・短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者は対象外とされています。

転職を挟んでいる場合はどうか。公式の説明では、離職期間があっても12か月以内であれば離職前後の期間を通算できます。ただし離職期間が12か月以内でも、失業給付等を受給していた場合は通算できません。転職の合間に失業手当を受け取っていると、そこで加入期間のカウントが切れるわけです。逆に間を空けずに転職を重ねてきた人なら、前職までの期間もまとめて5年に算入できる可能性があります。

過去に基本手当、教育訓練休暇給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金を受けたことがある場合も、通算できない期間が生じることがあるとされています。自己判断が危ないところで、加入期間が何年何か月として扱われるかは休暇の開始前にハローワークで確認できます。離職を挟んだ手続き全般は退職後の手続きリストにまとめました。

いくら、何日もらえるのか

給付日数は加入期間で決まる

雇用保険の加入期間所定給付日数
5年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

失業給付の所定給付日数は年齢や離職理由でも変わりますが、こちらは加入期間だけで決まります。20年勤めていれば150日、つまり5か月分。まとまった期間の学び直しを想定した設計だと分かります。

給付日額は失業給付と同じ計算

給付日額は、原則として休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定されます。パンフレットの表現では「失業給付の算定方法と同じであり、休暇開始日の前日を離職日とみなして算定します」。年齢によっても変動します。

失業給付の計算式では給付率は賃金日額のおおむね50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低い人ほど率が高くなる仕組み。そして基本手当日額には上限と下限があり、これが毎年8月1日に改定されます。2026年8月1日から適用されている上限額は次のとおりです。

年齢基本手当日額の上限額
29歳以下7,450円
30〜44歳8,270円
45〜59歳9,110円
60〜64歳7,830円

下限額は年齢に関係なく2,562円。2025年8月時点の上限(29歳以下7,255円、45〜59歳8,870円など)と下限2,411円から、それぞれ引き上げられています。ネット上の解説記事はまだ旧額のまま止まっているものが多いので、金額を見るときは日付を確認してください。

上限があるということは、高収入の人ほど賃金に対する補填率は下がるということでもあります。45〜59歳で上限が適用される場合、月あたりの給付は9,110円×30日で約27万円。これが天井です。

支給額の目安

厚労省のパンフレットに載っている、額面月収ごとの給付月額イメージです。

額面月収給付月額の目安
250,000円約170,000円
350,000円約195,000円
450,000円約225,000円

ただしこれは額面月収から便宜的に給付日額を算出して30日を掛けた概算値。「実際に支給される額は、収入、年齢、教育訓練休暇の認定状況等により異なります」と注記があります。厚労省の教育訓練休暇給付金ページには年齢と額面月収を入れて試算できるシミュレーターがあるので、具体的な数字はそちらで。手取りの感覚では6〜7割くらいが残る計算でしょうか。ゼロと6割では、決断のしやすさがまるで違いますよね。

受給期間は1年、分割取得もできる

給付を受けられる期間は、休暇開始日から起算して1年間。この1年の中で、所定給付日数の範囲内で支給されます。

見落とされがちですが、分割取得が可能です。「受給期間と所定給付日数の範囲内であれば、複数回に分割して取得した場合であっても支給を受けられます」とされています。ただし1回あたりは30日以上連続している必要があり、受給期間の1年は分割する場合でも初回の休暇開始日から起算します。

逆に言えば、1年を過ぎると所定給付日数が残っていても打ち切り。150日分の権利があっても、休暇の取り方が細切れで1年を超えれば残りは消えます。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上教育訓練を受けられない場合は受給期間を延長できることがあるので、ハローワークに相談を。

どんな休暇・どんな教育訓練が対象か

対象になる休暇は、次の3つをすべて満たすものです。

① 就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇。 社内に制度があることが前提です。ここが最初の壁で、詳しくは後述します。

② 本人が自発的に希望し、事業主の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇。 ポイントは「自発的」「無給」「30日以上連続」の3点で、業務命令で受講させる場合は対象外です。一方で柔軟な部分もあり、教育訓練以外の目的を含む休暇制度(自己啓発休暇のような幅広い制度)に基づく休暇でも、教育訓練を受講するためであれば該当するとされています。事業主や上司からの案内がきっかけでも、本人の意思なら対象です。ただし収入を伴う就労を行った日、教育訓練休暇とは異なる休暇・休業(有給休暇や育児休業など)を取得した日は支給されません。

③ 次の教育訓練を受けるための休暇。

  • 学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校、各種学校が提供する教育訓練等
  • 教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
  • 職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)

2つ目に注目してください。教育訓練給付金の指定講座を持つ法人の教育訓練が入っているので、資格スクールや専門学校の多くはここに含まれる可能性があります。講座選びの起点としては教育訓練給付金と地続きですね。どのスクールが指定を受けているかは通信講座おすすめ比較で講座単位の対象可否を調べています。3つ目に語学留学や海外大学院が明記されているのは、個人的に驚きでした。国内の資格講座だけの話ではないんです。

申請の流れ

事業主と労働者の二人三脚で、しかも期限が短い。ここは正確に押さえる価値があります。

休暇に入る前は、就業規則等に教育訓練休暇制度があることを確認し、事業主に取得を申し出て期間・内容を調整のうえ合意。そのうえで「教育訓練休暇取得確認票」に必要事項を記載して事業主に提出します(記載内容が足りていれば会社独自の様式でも代替可)。書くのは休暇の期間、教育訓練の目標と内容(施設名・講座名、受講開始と修了予定日)、実施方法など。加入期間の要件を満たしているかは、この段階でハローワークに確認できます。

休暇開始後は期限が動き出します。事業主は休暇開始日の翌日から起算して10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ提出。

  • 教育訓練休暇開始時賃金月額証明書
  • 休暇制度が規定されている就業規則等(写し)
  • 出勤簿、タイムカード等の就業実態を確認できる書類(写し)
  • 賃金台帳等の賃金支払い状況を確認できる書類(写し)

労働者は休暇開始日から起算して30日以内に、住居所を管轄するハローワークへ提出。これで受給資格が決定します。

  • 教育訓練休暇給付金支給申請書(原則、事業主経由でハローワークから交付を受けたもの)
  • 賃金月額証明票(同上)
  • 教育訓練休暇取得確認票(事業主が承認したもの)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)、通帳・キャッシュカード等

その後は休暇開始日から30日を経過するごとに「教育訓練休暇取得認定申告書」を提出します。添付は受給資格決定通知、教育訓練を受講していることを証明する書類(受講証明、領収書など)、本人確認書類。2回目以降は受講に関する疎明書での代替も認められています。失業給付の認定日と似たリズムで、休暇中ずっと30日サイクルが回り続ける点は頭に入れておいてください。

実際に使えそうなケース

厚労省が活用例として挙げているのは、次のようなパターンです。

  • ホテルスタッフが、訪日外国人の応対のため語学留学を目的に休暇を取得するケース
  • 外国企業とのやり取りが必要な部署への異動を希望し、語学の習得に専念するケース
  • IT企業で勤務する労働者が、上位資格の取得のために休暇を取得するケース
  • 准看護師が、キャリアアップのため看護師資格の取得を目指すケース
  • 介護職が、業務のデジタル化に向けてITの知識等を習得するケース

並べると傾向が見えます。「働きながらでは物理的に終わらない学習」に効く制度なんですよね。准看護師から看護師への進学のように、カリキュラムが平日日中に組まれていて働きながらでは通いようがないケースは、休暇を取る以外に選択肢がありません。プログラミングや生成AI系の長期スクールで、数か月まとめて手を動かす必要がある場合も同じです。夜と土日の細切れでは身につかないという実感を持っている人は多いと思います。

資格試験の直前期に90日を充てる使い方も理屈のうえでは成り立ちます。ただし対象は指定された教育訓練機関の講座を受けるための休暇なので、市販の参考書で独学するための休暇は対象外。スクールの受講とセットで考える必要があります。

注意点:ここを知らずに飛び込むと危ない

会社に制度がなければ、話はそこで終わる

対象は「就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇」だけです。国の制度なのに、入り口の鍵は会社が握っている。厚労省のQ&Aにも、取得を拒まれた場合は「教育訓練休暇を取得できず、教育訓練休暇給付金は受給できません」と明記されています。

打つ手がないわけではありません。会社側には、教育訓練休暇制度を導入した事業主向けの人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース)があります。長期の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が自発的に教育訓練を受講した場合には賃金助成も支給される場合がある、という制度です。人事に相談するなら「私が休みたい」ではなく「制度導入には会社側にも助成がある」と持っていくほうが、話は前に進みやすいはず。就業規則の規程例は厚労省のパンフレット付録に載っていますし、各都道府県の働き方改革推進支援センターでも相談できます。

無給が要件。給与が出る休暇は対象外

有給の自己啓発休暇制度を持っている会社もありますが、それでは対象になりません。ただし細かい話として、事業主から資格取得のための手当等(受講費用や受験料の一部補助など)が支給されている場合は、就労の対価として支払われるものではないため、それを理由に不支給になるわけではないとされています。学費補助と給与は別、という整理ですね。

また、休暇中に週1回の出勤を求めるようなことも認められていません。30日以上「連続して」無給である必要があります。休暇中に就労した日(副業を含む)は、その日について給付を受けられません。一方、指揮命令によらず人事担当者や同僚と軽微なやり取りをする程度は、一般に就労には当たらないと考えられるとされています。

受給すると被保険者期間がリセットされる

これが最大の落とし穴です。支給を受けると、休暇開始日より前の被保険者期間や雇用保険に加入していた期間はリセットされ、通算できなくなります。 そのため原則として一定期間は、失業給付など被保険者期間を要件とする給付を受けられません。

つまり「休暇給付金で90日分もらって学び直して、その勢いで転職しよう。うまくいかなくても失業手当があるし」という計算は成り立たない可能性が高い。新たな被保険者期間は休暇開始日から起算されるので、休暇明けすぐに辞めると失業給付の受給資格を満たせない事態が現実に起こります。

例外もあります。育児休業等給付・介護休業給付のみなし被保険者期間と、教育訓練給付金の支給要件期間には影響しません。また休暇終了日から起算して6か月を経過する日までに、倒産や事業の縮小・廃止、解雇などで離職した場合は「特定教育訓練休暇給付金受給者」として、休暇開始前の被保険者期間も算定に含める特例が法律上設けられています。会社都合で職を失ったときのセーフティネットは残されている設計です。

それでも自己都合で辞める前提の人には重い制約。この制度は「辞めるための助走」ではなく「辞めずに学ぶため」のものだと理解しておくべきだと思います。なお不正受給の場合は、返還に加えて返還額の2倍の納付を命じられ、詐欺罪として刑罰に処せられることがあります。

まとめ

  • 教育訓練休暇給付金は2025年10月1日創設。在職中に無給で休んで学ぶ人の生活費を支える制度で、受講料が戻る教育訓練給付金とは別物
  • 対象は雇用保険の一般被保険者で、休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があり、かつ加入期間が通算5年以上あること
  • 給付日数は加入期間に応じて90日/120日/150日。給付日額は失業給付と同じ算定方法で、2026年8月1日からの上限は45〜59歳9,110円、下限は全年齢2,562円
  • 対象は就業規則等に基づき自発的に取得する30日以上連続の無給休暇。業務命令による受講は対象外
  • 受給期間は休暇開始日から1年。分割取得は可能だが、1年を過ぎると残日数は消える
  • 最大の注意点は、受給すると休暇開始前の被保険者期間がリセットされること。休暇明けすぐの自己都合退職とは相性が悪い

新しい制度なので、運用の細かいところはこれから固まっていく部分もあると思います。自分のケースが対象になるかの最終判断は、住居所を管轄するハローワークで確認してください。加入期間の要件は休暇の開始前に照会できますし、就業規則が要件に合致しているかは事業所の管轄ハローワークで事前確認できます。

「学びたいけれど、休んだら生活が回らない」。この理由でスクールを諦めてきた人にとって、選択肢が1つ増えたのは間違いありません。まずは自分の雇用保険の加入期間と、勤務先の就業規則に休暇制度があるかどうか。この2つを確かめるところからだと思います。

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